令和2年度税制改正に関する経済産業省要望
第三者への事業承継の促進に資する税制措置の創設
(所得税・法人税・個人住民税・法人住民税・事業税)
○ 近年、後継者が不在であること等を背景に、黒字企業を含めた企業の休廃業・解散件数が増加傾向にあり、現状を放置すれば価値のある企業や技術、ノウハウ等が失われる可能性がある。
○ 後継者不在の中小企業の事業承継を後押しすべく、株式・事業の譲渡やM&Aを通じた親族以外の第三者による事業承継を促進するための税制措置を講ずる。
【要望内容】
株式・事業の譲渡やM&Aを通じた親族以外の第三者への事業承継を促進するための税制措置を創設すること
先日のコラムでも取り上げましたが、経営者の高齢化が進んでいます。
最も多い経営者の年齢は1995年に47歳だったのが、2018年には69歳になりました。
事業承継はなかなか順調には進んでいないようです。
平成28年 中小企業庁 事業承継ガイドラインによると、
そうで、後継者の確保が困難になっている状況がうかがえます。「子供に継ぐ意志がない」「子供がいない」「適当な後継者が見つからない」といった後継者難を挙げる経営者が合計で 28.6%に達した
このような後継者不足の状況が改善されない中で、親族以外への事業承継を促すために、冒頭の記事にある
「第三者への事業承継の促進に資する税制措置の創設」
が経済産業省から要望されているようです。
(具体的にどのような税制になるかは、まだ明記されていません。)
後継者不在は、業績の良い企業でも事業を廃業せざるを得ない、言わば「もったいない」状況を生んでしまいます。
また、業績の悪い企業においても、経営者自身の生活費確保、従業員への給与支払、借入金の返済のため、赤字でも事業を継続せざるをえない状況が続いているケースもあります。
赤字が継続すると、さらに状況が悪化して債務超過に陥ってしまう、という悪循環が起こることも珍しいことではありません。
日本人は、身内意識が高く、伝統を守り、我慢強く努力することを美徳と考える傾向にあります。
また、決断ができず、結論を先送りしやすいというのも、日本人の特徴。
第三者への事業承継が進まないというのは、このような日本人の傾向による面も、もしかするとあるのかもしれません。
債務超過になってしまって、挽回不可能な状況からの事業承継は誰もハッピーになりません。
平成28年 中小企業庁 事業承継ガイドラインでは、このような記載があります。
後継者の育成期間も含めれば、事業承継の準備には 5 年~10 年程度を要することから、平均引退年齢が 70 歳前後であることを踏まえると、60歳頃には事業承継に向けた準備に着手する必要がある。
事業承継を考えるのは、早いに越したことはありません。
事前の計画、準備をしっかり進めていきたいところです。
現状分析、問題点・課題発見にお悩みの方は、コンサルティングのページ へ
※ コラムと同様な手法が可能かどうかは、お客様の状況、景気動向、経済状況、その時点での法令などによって異なる場合があります。
弊所との契約に基づいて実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、弊所では一切責任を負いかねますのでご了承ください。